祝日が嫌いだった

大型連休が嫌いだった。

実家で家族が揃うと楽しくない思い出しか無かったから。仲良くないくせに、家族のふりをしようと、わざわざ遠出を企画するし、最悪だった。事前に企画しても母親以外予定通りに起きて行動した試しがない。起きなくてまず喧嘩。予定通りに出発出来なくて喧嘩。車の中で喧嘩。混んでて喧嘩。ついてもやる事決めてなくて喧嘩。疲れて帰りたくなって喧嘩。夕飯どうするかで喧嘩。とにかく楽しくなかった思い出しかない。

大人になって、家族で出かける事はなくなったけれど、自分が非正規雇用歴が長すぎて、時給で雇われていたものだから、祝日休みの会社たと単純に給料が少なくて休む事は全然嬉しく無かった。祝日が多いと翌月の給料は目に見えて減った。心がすさんだ。

世の中の人たちは、大型連休になるとみんな揃って浮かれて。それがどうしようもなく妬ましかった。

帰る家も無くなって、非正規雇用でもなくなった今でも相変わらず、なんとなく浮かれモードに乗り切れず惰眠を貪る休日を過ごしている。

人も多いだろうし、何処かに行く気にもなれない。飼っている生き物もいるし遠出もちょっとな。気兼ねなく過ごせる家があるだけ良いのにないものねだりしてしまう。

誰の目も気にせず、誰と言い争う事もなく、穏やかな休日が過ごせるようになった、それだけで十分なのに。祝日で時間があるばっかりに、昔の事とかほじくり返して考えなくて良い事を考えてしまう。まだちょっと好きには遠い。